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Wednesday, February 12, 2014

切削で基板を作る

今回の作品では、パターン切削で基板を作っています。すべての基板(200点ほど)を RD420 のみで作りました。
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基板の作り方

これを読んでいる人は、おそらくNC切削機を持っていないか、使える環境にあっても非常に限られた時間しか使えない、という人も多いと思う。

何回か書いているし、下にあげた他の方の記事にもある通り、三軸切削機を持っていれば、かなり歩留まりの高い基板を安く作ることができる。もちろんデメリットもあり、手作業も多い。結局アプリケーションごとにどう作るかを個人で意思決定すればいいと思う。

切削基板についての日本語情報

  1. http://madlabo.oops.jp/kezuri/ : 切削基板を事業で作っている、いた?自営業者さんの記事です。
  2. http://seminar.cqpub.co.jp/ccm/ES14-0061 : iModela の記事
  3. 切削型基板加工機による電子基板の製作: 北海道大学技術支援室資料

また、複雑なシステムを作る場合はちょこちょこ基板レベルでの修正が必要になる。その際も、数時間あれば作りなおせるNC切削機による基板作成のメリットは多い。

一番の問題はNC切削機を導入すること自体が敷居が高い、ということ。だけど、精密にモノを加工するための道具は、昔に比べれば増えた。OriginalMind, Roland 等からある程度廉価のものが出ているし、Kickstarterならもっと安いキット(だが性能、管理等はもちろん自己責任)もある。レーザーカッターに比べて三軸切削機は、わずか10万程度で、かなり実績のあるマシンを購入できる。特にRoland から出ている iModela はユーザーも多く、価格も6万程度なので本当にだれでも導入可能だ。

自分だけのマシンを買うのはものづくりをやりたいなら必須事項だ。アーティストやエンジニアにとって道具は音楽家にとっての楽器のようなもので、自分だけのものを所有して使い倒して初めて面白いものが作れるんじゃないかと思う。

多数の基板をある程度大量に作る

 
今回のプロジェクトで使う基板部品は6種類.電源モジュールやシールド,TLC5940モジュールの基板など,一つ一つは小さいものの種類が多く、バグがあったら修正が必要.そのうち一つのLEDモジュールは100個以上、TLC5940モジュールは 30枚以上必要だった。
 
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LED Module. 小さいが、100個以上必要だった。これも数時間で削りだすことができる。なんといってもパターンと穴あけが工具の交換だけですぐに出来るのが嬉しい。
 
このように、小さな基板ならば、ある程度大量に生産することもできる。また、外注基板では高くなる変な形のカットも、「ルールから外れてるけど動けばいい」というパターンでも、自由自在である。上のLEDモジュールは基板面積を小さくして円形に仕上げるためにかなり自由にパターンを書いている。穴のサイズも0.01mm単位での調整が必要だが、そのような試行錯誤も手元で行うことが可能だった。
 

Eagle から切削ファイルを直接作る。

 
Eagle は世界標準と言ってもいい基板作成ソフトで、特にパーツの種類が多く、ほとんどの部品データはネットで見つけることができる。
 
三軸切削機で基板を作る際、一番簡単なのが、Eagleでデザインして、Eagle上で ulp を使って cnc データを吐いてしまう方法。ただし、後述のようにビットの太さがかなりシビアなので、はんだ付けしやすいパターンを作るのはちょっと難しい。
 
切削された生基板は、パターン間が半田ブリッジ等でショートしやすい。そのためテスターでのチェックが必須になる。
 

Padの大きさを大きくする.

 
半田づけの難しさは、ランドを大きくする等で対応することができる。
 
はんだ付け部分のサイズを大きくするには、Eagle にて部品を右クリックして"Open Device" "OpenPackage" 等で編集可能である.
このくらいのパッドの大きさなら少々切削溝が太くても半田付けが簡単で
ピンのあいだをパターンが通せる.
LEDのPadを大きくするところ,ライブラリを編集する.
 
もしくは,デザインルールを変更する.

2.54mmピッチ,片面でデザインする.

 
今回は歩留まりを高くするため、2.54 mm ピッチの部品を使い、最も細かい部分でもDIPのピンの間に1本通す、というデザインしかしていない。両面切削も可能だが、位置合わせが面倒なため、かわりにジャンパーピンは積極的に使ってシンプルなパターンを作った.
 
ジャンパーピンはリード線を折り曲げて使えばよい。よっぽど複雑な回路じゃない限り、自作基板で頑張って二面にするメリットは少ないと思う。大抵の場合、数本のジャンパーピンで対応可能だ。

 

生基板

 
電気街でも手に入れられるが、ネットの通販でも安い。
生基板の入手先は
  • Aliexpress.com :1000円程度で10x15cmが10枚
  • http://pcb-materials.com/:アウトレット、サイズがバラバラだが届くのが早い
  • http://taiyousyoukai.com/:アウトレット、一番安い。よく利用する。
生基板は正規で日本製の新品を買うと非常に高いので、10cm四方程度のDIY基板ならこれで十分。量産する場合でもAliexpressのものをある程度買っておけばずいぶん持つ。

Vカッターの選択

 
今持っているのが,20度0.1mmで刃が1枚のものと40度0.2mmで先端が三角錐になっているVカッター.角度がつくほどバリが出やすく、角度が小さいほど折れやすくなる。パターンを大きくし、余裕のあるデザインにして、深く掘るのがよい。
 
日本製の太陽商会で買ったグリーンエポキシ.表面が綺麗.
左側はビットのセットを失敗してバリが出た.
40度のカッターは非常に折れにくいが、バリがどうしても出る.パターンを800番のヤスリで削ったあと,表面をコンパウンドで磨くと割とキレイになる.コンパウンドも導電性のものがあるので,磨いたあとは水とブラシで綺麗に落としておく.

生基板は中国製.150x200mmで一枚$2程度.
見た目は悪いが、機能に問題はない。
一般の35um厚の生基板ならば30度のビットが一番バランスが良かったと思う.

出来上がったら

出来上がったら隣同士のパターンにテスタを当てて抵抗を測っていく。少なくとも電源とGND周りはショートしていると壊れやすいのでチェック。ICはできるだけ直付けせず、ソケットに差し込むタイプにし、電圧チェック後に差し込むのがよい。